The Japanese Dubai-JDニュース

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不渡小切手発行者は禁固刑

法の原理と正義はどこに

昨年来、小切手の不渡り(bounced cheques)による一般市民の逮捕事件が数万件という膨大な数で発生している。UAEにおける分割払いの手段は、日付を先にした小切手支払いがほとんどである。

不動産賃貸では年間賃料を2つか4つの小切手に分割して契約時に貸主に手渡すスタイル、商品の売買でも分割された金額と将来の日付を記したサイン済み小切手を、契約時に売主へ手渡しするケースが多い。

結果、昨今の金融・雇用不安の中、UAE、特にドバイでは不渡り小切手が記録的な数で発生している。

契約時には支払い見通しが立っていたのだが、小切手がクリアすべき日に十分な預金額がないため、小切手が不渡りになるケースである。

不渡り小切手の発行は、その金額がいかに少額であろうと、UAE刑法では犯罪として扱われる。現在、ドバイの刑務所は不渡り小切手を発行したという罪で収監された人々であふれている。

小切手にサインをするのは家長である父親あるいは母親であるケースも多く、わずかな金額の不渡りで家族の大黒柱が多く刑務所に入っているという悲しい現実である。それら当局を管轄する大元の政府は、何十億ドルという債務支払義務を怠っても、逮捕されることはない。

刑法401条及び402条

小切手とは、銀行に宛てて振り出された要求払い(payable on demand)の為替手形(bill of exchange)のことである。UAEでは、イギリス英語綴りでchequeと表現される。

小切手が不渡りになるということは、小切手が支払のため銀行に呈示されたが、口座に資金が足りないため、銀行による小切手の引受けもしくは支払が拒絶され、または引受けもしくは支払が得られないことを指す。呈示された小切手が拒絶されて戻ってくるのでbounced chequeという表現になる。

小切手が拒絶されて戻ってくると、支払を受ける側である小切手の所持人(例えば不動産賃貸借契約では貸主)は支払義務者(例えばテナント)が発行した小切手が不渡りになった事実を、刑法401条及び402条を根拠に警察へ届け出る。もしくは、警察への届出を前提に、支払義務者と最後の交渉を行う。通知には最低3.5%の費用支払義務が届出者に発生するため、被害者としては、支払義務者の経済状況を見ながら示談に持ち込むことが賢明な選択肢になるケースもある。
刑法401条及び402条により、小切手の不渡りを犯した者は1ヶ月から3年の禁固刑、更にはAED1,000からAED10,000の罰金に科される。

届出を受けた警察の対処

小切手の所持人から不渡りの事実報告を受けた警察は、通常の場合、当事者間で何らかの合意に達することができないか、簡単な調停の努力はする。事件が賃料の未払いである場合、ドバイで新設された「賃料委員会」Rental Committeeへ事件の照会も行う。

当事者間で合意に至らない場合、もしくはRental Committeeにより酌量の余地がないと判断された場合、事件は犯罪の訴追を行うために検察へ送られる。検察は裁判所へ事件を移し、審理日が決定される。

審理日に起こること

被疑者の審理日には、以下の三つのうちどれかの結論に達する。

判決前に被疑者が(合意された)金額を被害者へ支払い、被害者は権利を放棄し、(被疑者      
  は罰金を支払うことなしに)裁判所は事件を棄却する。

判決後に被疑者が金額を被害者へ支払い、裁判所は判決の執行を停止する。その場合、被        
  疑者の罰金支払義務は残る。

被疑者が被害者へ金額を支払わない場合、裁判所は有罪判決をくだし、被疑者は言い渡さ
  れた懲役期間を刑務所で過ごし、罰金が科される。

ブラックリスト

連邦商取引法第643条により、裁判所は、有罪の判決を受けた受刑者の小切手帳を没収し、新しい小切手口座開設を(ケースにより一定期間もしくは永久的に)禁じる。

検察は有罪判決をUAE中央銀行へ通達し、UAEの全ての銀行へ有罪判決の事実を伝えるよう命令する。判決を無視して受刑者に対して新しい小切手口座を開設した銀行へは、最高AED10万までの罰金が科される。

民事責任

不渡り小切手を発行した者(法人の代表・取締役を含む)には刑事責任とは別に民事責任が残る。不渡り小切手を発行した者を被告にして民事訴訟を起こし、不渡り金額プラス金利の支払いを求めることが被害者側の民事上の法的権利である。(2010.3.21)


 プロフィール
 金城昭一  
 金城マネジメントコンサルタンツ代表 www.kaneshirolawyers.com 
 資格:豪州弁護士 学歴:経営修士 (MBA)、会計修士 (MAcc)、法学士 (LLB)、 
 社会学士 (BA)  
 専門分野:訴訟・国際商事仲裁、会社法、不動産関連法、商法、労働法、税法。
 主な著書:『21世紀の豪州不動産投資』(1997)、『豪州の不動産共同投資』
  (1999)、『オーストラリアのプロパテイ・トラスト』(2003-共著、住信基礎研
  究所)、『UAEの労働法』(2009)、『UAEの訴訟仲裁制度』(2009)。
 趣味:家族と過ごす時間、旅、サッカー、野球、映画鑑賞。
 1956年日本生まれ。
 
UAEの法律 - UAE LAWS 
  http://blog.goo.ne.jp/inochiyoshieinochi


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