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就業規則の見直し

曖昧な規定が多く、すべてのケースに対応していないUAE労働法を補う意味で、就業規則が果たす役割は非常に大きい。
今回は、ジュベリ・アリ・フリーゾーン(JAFZA)にある企業の就業規則見直しにスポットをあててみよう。

就業規則見直しで参照する書類

JAFZA企業が就業規則を作る際に最低限参照しなければいけないのは、UAE労働法、JAFZA定型雇用契約書、(存在すれば)企業独自の雇用契約書、JAFZA規定、社内書式、保険規定、そして更に勘案すべきは当該企業が属する産業職種、社風と企業文化。

個々の企業が置かれているビジネス環境とスタッフモラル向上に配慮しつつ、労働法、雇用契約書、JAFZA規定に抵触しない、漏れのない明確な就業規則作りが肝要。

ジュベリ・アリ以外のフリーゾーンの場合には、それぞれのフリーゾーン規定を上記のJAFZA規定と置き換え、DIFCフリーゾーンについては、DIFC雇用法も参照すること。

フリーゾーン(自由貿易特区)とは?

ここで、ご存知ではない読者のために、フリーゾーンの簡単な説明をしておこう。

2009年までにドバイ首長国へ進出した約280の日本企業のうち、約7割がフリーゾーン法人での事業展開を選択。フリーゾーン法人になる主なメリットは、100%外資所有可、法人税・所得税免除、関税なし、資本利益の本国送金制限なし、スポンサー不要、外国人労働者雇用制限なし、効率的な輸送・流通施設の存在等。販売のために物品をフリーゾーンからUAE国内へ移す際には、輸入当事者が免税措置を受けている場合を除き、関税(5%)が発生し、販売代理店を経由する必要がある。UAE国内市場(つまりフリーゾーン外)での流通販売にはLLC設立も選択肢(本ブログ第10回参照)。

ドバイにおけるフリーゾーンの代表格は、再輸出ビジネスのハブであるジュベリ・アリ・フリーゾーン(JAFZ: www.jafza.co.ae)であり、営業拠点のハブとして成長著しいドバイ・エアポート・フリーゾーン(DAFZ: www.dafza.gov.ae)。 ドバイのフリーゾーンにはこれ以外にもインターネットシティ (www.dubaiinternetcity.com)、メディアシティ (www.dubaimediacity.com)、ドバイ国際金融センター (DIFC:www.difc.ae) 等があり、他の首長国に目を向けると、アブダビの再生エネルギーシテイであるマスダール(Masdar:www.masdar.ae)、積極的な誘致戦略を繰り広げるRAK首長国 (www.rakftz.com)、それに追随してシャージャー、フジャイラ、アジマン各首長国にフリーゾーンが存在する。

雇用契約

今回の場合はジュベリ・アリ・フリーゾーン企業のため、雇用契約は必然的に3年間の期限雇用契約(更新可能)。これは、雇用開始日と雇用終了日が具体的に定められている確定期間雇用契約のこと。

UAE労働法が定める確定期間契約の主な特徴は以下のとおり。

当事者の更新合意がない場合、契約で定めた雇用終了日をもって雇用関係は終了する。
契約が更新された場合、被雇用者の勤続期間・条件に関しては最初の雇用契約が延長されたものとみなされ計算・解釈される。
予告なしで被雇用者を即刻解雇できるUAE労働法120条行為以外の理由で解雇する場合、雇用契約で別途定めがある場合を除き、3か月または契約残余期間いずれか短い期間の報酬額を補償金として支払う義務が雇用者に発生する。

就業規則に最低限明記すべき規定条項

試用期間規定、労働時間規定、時間外労働手当・夜間労働手当・賃金規定、年次有給・病気・ハッジ休暇規定、遅刻・欠勤通知規定、産休規定、契約解除・通知規定、退職金規定、帰還費用規定、出張規定、接待規定、安全衛生規定、ドレスコード、社内IT規定、機密保持規定、懲戒・解雇規定、非競争規定等。

それぞれの条項を労働法・フリーゾーン規定・雇用契約書の内容に抵触しない範囲で、各企業独自のルールを詳細明記すること。 以下、いくつか例をあげながら、条項を考えてみよう。

年次有給休暇条項

ラマダン休暇中にあるこの時期、従業員が年次有給休暇から戻ってこない、無断で休暇期間を変更するなどのケースは少なくない。

年次有給休暇条項を作るときには、以下のような要素に気をつけること。

年次有給休暇の日数は、30日とか23日間という日数だけではなく、それがカレンダーデイなのかビジネスデイなのか明記すること。UAE労働法が定めているのは、一年以上の勤続の場合、年次有給休暇の日数は最低30日カレンダーデイ。
就業規則で定める年次休暇の日数換算開始日は従業員の雇用開始日をベースにするのか、企業側が決める日(例えば1月1日)をベースにするのか明記すること。
有給の額は休暇消化時の基本給がベースになることを明記し、会社の都合で有給休暇を返上した場合の代替休暇・賃金規定も明記すること。
年次休暇を翌年に繰り越しできるのかどうか、できる場合にはその条件を明記すること。
一度に取れる年次休暇日数と年次休暇を最大何回に分けて取れるのか明記すること。
誰に、いつまでに、どの社内書式で年次休暇申請通知を出して、雇用主の承認をもらうのかを明記すること。
法律を参照しながら、雇用主には有給休暇開始日を指定する権利があることを明記すること。
年次休暇返上の場合の報酬額について明記しておくこと。
年次休暇消化前の退職のケースについても両者の権利義務を明記しておくこと。被雇用者は退職前2年間の未消化の年次休暇の日数に応じた賃金を受け取る権利を有する。
年次休暇後に職場に復帰しない場合には、欠勤期間の給料を支払わない旨を明記しておくこと。

年次休暇後に職場に復帰しないケースで、それが不可抗力である場合(例えば航空会社のスト、戦争や天変地異)、従業員達のモラル維持を考えた上で、(企業の事情に応じて)その通知方法、タイミング、証拠書類の提出規定、有給振替扱い、無休休暇扱い、自宅勤務などの条項を準備しておく選択肢もある。

無断欠勤・病気休暇

就業規則には、遅刻・欠勤・病気休暇における会社側のポリシーを明記すること。

例えば、遅刻、早退、病気欠勤の場合には会社の誰に、いつまでに、どのような形で連絡を取り、後日どのような証拠書類と社内書式の提出を必要とするのか、規則に違反した場合の罰則規定はどうなっているのかを就業規則に明記すること。



就業規則はあらゆるケースを想定してドラフトし、将来何らかのクレームや争議になる可能性をゼロに近づけておくことが重要。経験上、どのような規模の企業の就業規則であっても、見直しの結果、適法化・変更・追加を必要とするケースが多い。

強固な就業規則を一度作っておけば、長年の労務問題・訴訟回避につながる。(2010.9.7)


 プロフィール
 金城昭一  
 金城マネジメントコンサルタンツ代表 www.kaneshirolawyers.com 
 資格:豪州弁護士 学歴:経営修士 (MBA)、会計修士 (MAcc)、法学士 (LLB)、 
 社会学士 (BA)  
 専門分野:訴訟・国際商事仲裁、会社法、不動産関連法、商法、労働法、税法。
 主な著書:『21世紀の豪州不動産投資』(1997)、『豪州の不動産共同投資』
  (1999)、『オーストラリアのプロパテイ・トラスト』(2003-共著、住信基礎研
  究所)、『UAEの労働法』(2009)、『UAEの訴訟仲裁制度』(2009)。
 趣味:家族と過ごす時間、旅、サッカー、野球、映画鑑賞。
 1956年日本生まれ。
 
UAEの法律 - UAE LAWS 
  http://blog.goo.ne.jp/inochiyoshieinochi

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